おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

具材を包み込む美味しさと優しさ

餃子や焼売や春巻や小籠包に共通することは何でしょうか。

それは具材を小麦粉の皮で包み込む料理だということです。

 

一口食べると中から素材の旨みが溢れ出てきます。

美味しさを逃がさない理に適った料理法です。

 

小麦粉の皮で包み込む料理は中華料理ばかりではありません。

イタリアには、パスタ生地で挟むラヴィオリがあります。

 

東欧諸国には、ピエロギと呼ばれる餃子に似た料理があります。

挽き肉、チーズ、ジャガイモ、キノコなどを詰めて作ります。

 

トルコや中央アジアには、マンティという料理があります。

やはり小麦粉の皮にさまざまな具材を詰めて作ります。

 

東アジアのマントウやマンドゥに名前がよく似ています。

おそらく同じルーツであると考えられます。

 

もちろん日本の饅頭も語源は同じです。

臨済宗の僧によって日本に伝えられました。

 

具材を包み込む料理はなぜ世界中に広まったのでしょうか。

料理方法として優れているという理由はたしかにあります。

 

美味しいからという理由ももちろんあります。

でもそれだけではありません。

 

一つ一つが愛情を込めて包み込まれるからです。

作ってくれる人の優しさが伝わる料理だからです。

 

それが世界中で愛されている理由だと思います。