おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

なぜ餃子にニンニクを入れるのか

日本で餃子と言えば、ほとんどが焼き餃子ですが、

本場中国の餃子は、水餃子が主流だそうです。

 

また、日本の餃子にはよくニンニクが使われていますが、

中国の餃子には必ずしも使われるわけではありません。

 

なぜ日本の餃子にニンニクが入るようになったのでしょうか。

それは、餃子が日本で普及した経緯と関係があるようです。

 

餃子が日本に伝わったのは江戸時代のことですが、

すぐに国内に広まったわけではありません。

 

一般的な惣菜として日本人が餃子を食べるようになったのは、

昭和二十年代以降のことです。

 

終戦後、中国の華北地方や満州から引き揚げてきた復員兵たちが

餃子の作り方を伝えたそうです。

 

そのため他の中華料理と違って、餃子には地域差があります。

たとえば宇都宮や浜松は餃子の街として知られています。

 

毎年「餃子日本一」の名誉をかけて消費量を競い合う両雄ですが、

いずれも、復員兵から伝授された味を受け継ぐ店が多くあります。

 

ところで、なぜ餃子にニンニクを入れるようになったのでしょうか。

 

それは、満州では豚が成育しにくいということに理由があります。

満州では、豚肉よりも羊肉の方がよく食べられていたそうです。

 

もちろん、餃子に使われる挽き肉も例外ではありません。

満州では、豚肉ではなく羊肉が使われていたそうです。

 

しかし豚肉に比べると、羊肉には独特の臭みがあります。

それを取り除くためにニンニクは欠かせません。

 

そのため、満州から日本に餃子の製法が伝わったときには、

すでにニンニクを使うようになっていたと考えられます。

 

日本では主に豚肉を使って餃子を作るようになりましたが、

ニンニクを使う習慣はそのまま残りました。

 

ニンニクは豚肉とも相性がよく、餃子の味を引き立てます。

餃子とニンニクは切っても切れない関係になっています。