魚の肝は魚卵と同様に栄養価の高い部位です。
脂肪分が多く、濃厚な味が特徴です。
肝が美味しい魚といえば、アンコウが挙げられます。
いわゆる「あん肝」です。
酒蒸しにしてアサツキを散らしてポン酢でいただきます。
奥深い味わいは「海のフォアグラ」と呼ばれています。
しかし生で食べることはなく、普通は加熱調理します。
あん肝の刺身というのは聞いたことがありません。
肝の刺身が美味しい魚は、カワハギです。
皮が分厚いので、皮を剥いでから捌きます。
それがカワハギという名前の由来です。
魚屋さんでは、皮を剥いだ状態で売られることもありますが、
もう一枚薄い皮があるので、それを引いてからおろします。
身は弾力があるので、刺身にするときは薄切りにします。
トラフグの刺身のような歯応えが楽しめます。
透明感のある白身は、刺身にするとたいへん美味しいのですが、
肝の刺身もまた絶品です。
じつは、カワハギの肝も「海のフォアグラ」と呼ばれています。
口の中でとろけるような旨みと甘みがあります。
肝を醤油に溶いて刺身につけて食べるのも美味しいです。
さっと湯引きにしてもポン酢で食べても美味しいです。
以前、お寿司屋さんで肝を軍艦巻きにしてもらいました。
これ以上ないほどの美味しさです。
カワハギは夏なると旬を迎える魚ですが、
肝が育つ晩秋のカワハギを好む人もいます。
よくカワハギは、トラフグに次ぐ美味しさと言われます。
トラフグに劣らない美味しさとも言われます。
しかし、トラフグを超える美味しさとは言われません。
カワハギはトラフグに勝てないのでしょうか。
決してそのようなことはありません。
勝っている点があります。
それはカワハギの肝です。
トラフグの肝には毒があり、素人では料理できません。
誰でも肝の刺身を美味しく食べられることに関しては
カワハギがトラフグに勝っていると言えます。