おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

フキ料理の美しさ

フキノトウが成長するとフキになります。

今が旬の野菜です。

 

もともと全国に自生する山菜でしたが、

現在は野菜として栽培されています。

 

自生種を「野ブキ」「山ブキ」ともいいます。

 

フキはアクが強く、繊維が多いのが特徴です。

料理する前に下処理しなければなりません。

 

長いフキは1メートルを優に超えます。

まずは鍋に入る大きさに切ります。

 

まな板にフキを乗せて塩を振ります。

両手でごろごろと擦りつけます。

 

これを「板ずり」といいます。

色よく茹で上げ、皮を剥きやすくする作業です。

 

たっぷりの湯に塩がついたままのフキを入れます。

茹で上がったらすぐに冷水に取ります。

 

フキの先端に爪を立てて一気に皮を引きます。

それを何度か繰り返してきれいに皮を剥きます。

 

丁寧に剥かないと、筋が残って舌触りが悪くなります。

手間がかかりますが、大切な作業です。

 

この季節でなければ作れない料理ですから、

美味しいフキのために頑張りましょう。

 

全部剥き終わったら下処理の完成です。

しばらく水に浸けておくとアクも抜けます。

 

フキは鮮やかなエメラルドグリーンをしています。

できればこの色を生かして料理したいです。

 

薄口の出汁で炊き上げた「青煮」は美しい一品です。

フキの色合いと香りと味わいと食感が楽しめます。

 

また、湯葉、麩、高野豆腐、厚揚げとの相性もよく、

一緒に炊き合わせると美味しく仕上がります。

 

フキの煮物は具沢山にしないことがコツです。

組み合わせる素材は一つだけが理想です。

 

主役と脇役がお互いを引き立てます。

もちろん主役はフキです。