四季を通して、私は炊き込みご飯をよく作りますが、
今の季節は、やはりタケノコご飯です。
乳白色のタケノコと醤油に薄く染まったご飯に、
色鮮やかな緑の木の芽が映えます。
そしてタケノコの深い風味と心地よい歯応えと
ふくよかなご飯の味わいが調和します。
これほど官能的な炊き込みご飯はありません。
この季節でなければ味わえない一品です。
タケノコの他に油揚げを入れることがあります。
鶏肉やニンジンやゴボウを入れることもあります。
具沢山の炊き込みご飯はたしかに美味しいのですが、
タケノコご飯はタケノコだけに限ります。
醤油は薄口にして色を抑えます。
味醂と日本酒を加えて炊きます。
炊き上がりの香りは何とも言えません。
芳しさが漂います。
椀に持って木の芽を添えます。
その美しさは譬えようもありません。
タケノコに心から感謝したい気持ちです。