おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

孟宗竹の孟宗とは何か

タケノコの季節になりました。

 

若竹煮、木の芽和え土佐煮、タケノコご飯など

季節のタケノコ料理が楽しみです。

 

タケノコは成長が早い植物です。

一日に数十センチメートルも伸びることもあります。

 

タケノコを漢字で書くと「筍」です。

「竹かんむり」に「旬」と書きます。

 

旬は、上旬、中旬、下旬の旬です。

つまり十日を意味します。

 

十日経つと、タケノコはもう竹に成長してしまいます。

タケノコが食べられる期間は限られています。

 

日本で最も多く食べられているタケノコは孟宗竹です。

タケノコといえば孟宗竹を指すほどです。

 

孟宗竹は中国の江南地方の原産です。

日本には江戸時代に伝わりました。

 

ところで、孟宗竹の孟宗とは何でしょうか。

 

孟宗は三国時代の呉の政治家の名前です。

中国二十四孝の一人です。

 

たいへんな孝行者として知られています。

たとえばこんな逸話が残っています。

 

ある冬のこと、孟宗の母が重い病気にかかりました。

孟宗は母に美味しいものを食べさせたいと思いました。

 

タケノコを探し求めて山に行きましたが、

見つかるはずがありません。

 

吹雪の中を必死に探し続けると、不思議なことに

急に雪が融けて春になり大地からタケノコが生えてきた。

 

これを取って家に持ち帰り、母に食べさせたところ

重い病気がたちどころに治ったそうです。

 

とても不思議な逸話ですが、

親を想う気持ちが伝わってきます。