おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

雷が鳴るとシイタケが生えるのは本当か

シイタケの人工栽培が始まったのは江戸時代です。

豊後の国が起源と伝えられています。

 

それまでは天然のシイタケを収穫していました。

自然に生えてくるのを待つしかありませんでした。

 

昔の人は、いつどこにシイタケが生えるか知るために、

何とか情報を得ようとしたに違いありません。

 

その貴重な情報源の一つが雷です。

雷が鳴るとシイタケが生えることは昔から知られていました。

 

一体なぜでしょうか。

 

それは、落雷の放電によって、大気中の窒素と酸素が化合して

窒素酸化物が生成されるからです。

 

窒素ガスは不活性ですから、他の物質とほとんど反応しません。

しかし、窒素酸化物は反応性の高い物質です。

 

アンモニアや硝酸塩などの窒素化合物を作ります。

シイタケの菌糸にとって栄養素となる物質です。

 

この過程は「窒素同化」と呼ばれています。

 

雷が鳴って雨が降ると、原木の根元に栄養が滲みます。

そのためシイタケが生えてくるのです。

 

現在は、原木栽培と並んで菌床栽培が盛んです。

おが屑に肥料を混ぜて菌種を植えつける方法です。

 

天候に左右されず、安定して生産できます。

雷が鳴るのを待つ必要はありません。

 

おかげで年間通してシイタケが食べられます。

ありがたいことです。