以前、メザシのことについて書いたときに述べましたが、
メザシという名前の魚はいません。
イワシを干したものをメザシと呼んでいます。
目のところに竹串を通して連ねるので「目刺し」です。
同じように、シラスという名前の魚はいません。
シラスはイワシの稚魚のことです。
収穫量の多いカタクチイワシの稚魚がほとんどですが、
マイワシの稚魚が混ざることもあります。
漢字では「白子」と書きます。文字通り白い体をしています。
シラスの語源は「白州」ではないかと考えられています。
白州とは白い砂利を敷いた庭のことです。
シラスを天日干すときに干し台一面が真っ白になります。
その風景が白州によく似ていたのでしょう。
「釜揚げシラス」は、獲れ立てのシラスを釜茹でしたものです。
干さずにそのまま出荷します。
釜茹でしてから半生の状態に干したものが、「シラス干し」です。
「太白」「太白ちりめん」とも呼ばれます。
さらに天日でよく乾燥させたものが、「ちりめん」です。
「上干しちりめん」ともいいます。
では、「ちりめんじゃこ」とは何でしょうか。
「ちりめんじゃこ」は主に関西地方で使われる呼称ですが、
干しても干さなくても「ちりめんじゃこ」と呼ばれます。
今では呼び名の地域的な差が少なくなってきています。
全国的にも「ちりめんじゃこ」と称されています。
それでも、さすがに生のシラスは「生シラス」です。
「生ちりめんじゃこ」とはいいません。
最近は、冷蔵と輸送の技術が飛躍的に向上したせいか、
生シラスが広く流通するようになりました。
生シラスは冷凍保存ができません。鮮度が命です。
やはり漁港近くのお店で午前中に食べるのが最適です。
しかし水揚げのあった当日しか食べることができません。
食べに行く前に、漁港やお店に確認する必要があります。
1月から3月中旬まで禁漁となる地域が多いので、
解禁されるこれからの季節が楽しみです。
味付けせずにそのまま食べても美味しいのですが、
ショウガと少しの醤油を添えるとまた美味しいです。
ご飯に生シラスを盛った料理は「生シラス丼」と呼ばれます。
ネギや大葉などの薬味をたっぷり乗せると美味しいです。
生シラスは海から授かった命そのものを食べる感じがします。
海の恩恵に感謝しなければなりません。