おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

白酒と甘酒は何が違うのか

白酒はひな祭りのお祝いに振る舞われるお酒です。

製法が確立したのは江戸時代といわれています。

 

みりんや焼酎に、蒸したもち米と米こうじを仕込みます。

一か月ほど熟成させた「もろみ」を搾って作ります。

 

数パーセントのアルコールを含んでいますので、

未成年者が飲むことはできません。

 

「うれしいひなまつり」の歌にあるように、

少し召されるだけで右大臣の顔も赤くなります。

 

ちなみに「うれしいひなまつり」は短調の曲です。

うれしいというよりは、どことなく悲しげな曲調です。

 

歌詞には、嫁いだ姉さまが官女によく似ているという描写があります。

作詞したサトウハチロー氏の亡くなった姉がモデルと言われています。

 

さて、白酒に対して、甘酒は米と米こうじだけを使って作ります。

 

ご飯やお粥に米こうじを混ぜ、約60℃で一晩保温して作ります。

一晩でできることから「一夜(ひとよ)酒」とも呼ばれます。

 

米こうじに由来する酵素が、デンプン質を糖に変えてくれます。

それだけで十分に甘いので砂糖を加える必要はありません。

 

ところで、甘酒はお酒なのでしょうか。

 

市販されている甘酒はアルコール飲料ではありません。

一般にはソフトドリンクに分類されます。

 

しかし甘酒の種類には、酒粕を使って作るものもあります。

酒粕は、お酒を搾った粕ですからアルコールを含んでいます。

 

子どもに与えるときには確認しなければなりません。

 

寒い季節の熱い甘酒は、身も心も温まるありがたい飲み物です。

少しショウガを加えると風味も増します。

 

ところが、かつて甘酒は夏の飲みものとされていました。

夏になると甘酒売りが市中を売り歩いていたそうです。

 

歳時記でも甘酒は夏の季語になっています。

江戸時代には夏の風物詩とされていたようです。

 

栄養を補給して夏バテを防止したのかもしれません。

昔の人々は甘酒の栄養価をよく知っていたのでしょう。