きりたんぽを漢字で書くと「切短穂」です。
「短穂」とは綿を丸めて布で包んだものを指します。
これを槍の先に取り付けたものが「たんぽ槍」です。
古くから稽古用の槍として用いられてきました。
きりたんぽは、たんぽ槍の形状に似ているので名づけられました。
囲炉裏端に刺して炭火で炙る姿は、たしかにたんぽ槍に見えます。
ちなみに11月11日はきりたんぽの日だそうです。
きりたんぽの形を見ると、なるほどと納得します。
きりたんぽは秋田の郷土料理です。
うるち米のご飯を粒が残る程度につぶします。
それを杉の串に筒状に巻いて炭火で焼きます。
串に使う杉は、必ず秋田杉でなければなりません。
秋田杉は芳しい風味を生み出します。
焼き上がったら、取り外して食べやすい大きさに切ります。
そして、きりたんぽ鍋の具材として用います。
串から取り外さず、味噌を塗って食べることもあります。
「みそたんぽ」と呼ばれるそうです。
中部地方に伝わる「五平餅」にも似ています。
五平餅の名前の由来は、五平さんが作ったからという説もあれば、
神棚に捧げる「御幣」の形に似ているからという説もあります。
しかし、必ずしも御幣型ではなく団子型の五平餅もあります。
そうであれば、前者の説が有力かもしれません。
じつは、きりたんぽにも団子型の形状があります。
「だまこもち」と呼ばれています。
鍋の具材にするところはきりたんぽと同じなのですが、
表面を炭火で焼かないことが多いようです。
共通しているのは、どちらも秋田県北部が発祥だということです。
秋田の人々は、ご飯の美味しい食べ方をよく知っているのだと思います。