お粥のことを関西ではお粥さんと呼びます。
発音は「おかゆさん」よりも「おかいさん」に近いようです。
さん付けで呼ばれるのはお稲荷さんと同じように
庶民的に親しまれているからです。
お粥さんは消化によく体も温まります。
風邪のときや胃腸が弱っているときばかりではありません。
朝食の定番として広く食べられています。
禅宗でも朝ご飯のことを粥座(しゅくざ)といいます。
修行の一環として作法に則りお粥さんをいただきます。
むしろ歴史的にいえば白米のご飯を食べるよりも
お粥さんの方が一般的だったのではないでしょうか。
米が貴重だった時代、日常的に白米のご飯を食べるのは
ごく一部の限られた身分の人々です。
多くの庶民は水を多くしてご飯を柔らかく炊いていました。
お粥さんにすることによって量が増えるからです。
ヒエやアワなどの雑穀や豆やイモやダイコンや菜っ葉を加えて
とにかくお腹いっぱい食べることを工夫していました。
お粥さんに芋を入れるだけの単純な料理であっても
昔の人々にとってはご馳走だったのです。
さん付けしたくなる気持ちもたいへんよくわかります。