江戸時代の文化文政年間に胡麻を使ったお菓子が売り出されました。
その名を胡麻胴乱といいます。
小麦粉と胡麻を練った生地で砂糖を包んで焼いたものです。
砂糖が熱で融けて生地の中が空洞になります。
その形が胴乱に似ているので胡麻胴乱と名づけられました。
胡麻の香りがよくサクっとした食感が庶民の人気を集めました。
またたく間に大流行となったそうです。
しかし中身が空洞であることを知らずに食べた人は驚きました。
餡が詰まっているかと思ったら何もありません。
そのため見かけがよく中身がないことを「胡麻菓子」と呼ぶようになりました。
それが「ごまかし」の語源です。
やがて「ごまかし」が動詞化して「ごまかす」という言葉が生まれました。
現代語では「誤魔化す」と書きます。
それだけ胡麻の風味がよいということでしょうか。
決して食べる人を誤魔化すわけではありませんが、
いろいろな料理に胡麻を使うとたしかにおいしくなります。
胡麻には不思議な力があります。