童謡の「赤とんぼ」に桑の実を摘む詞が出てきます。
小籠に摘む場面はとても抒情的です。
昔は日本各地に桑畑が見られました。
とくに養蚕の盛んな地域では桑の木は身近な植物でした。
カイコのエサとして桑の葉はとても大切ですが、
桑の実は子どもたちにとって大切なおやつでした。
好きなだけ摘んでも決して大人に叱られないことはありません。
子どもにとってそれはとてもうれしいことでした。
もっとも桑の実をいっぱい食べ過ぎてお腹をこわしたり
桑の実の汁で衣服を赤く染めたときはよく叱られました。
養蚕と製糸業が廃れて桑畑は少なくなりました。
他の農作物に転用したり宅地になったりしてしまいました。
ときどき野生化した桑の木を見かけることがあります。
赤い実がたわわに実っているのを見ると懐かしくなります。
桑の実は熟するとブラックベリーのように黒くなります。
酸味が強いのですが完熟した実は甘くておいしいです。
イチゴでもないラズベリーでもないコケモモでもない
桑の実ならではの風味があります。