カレーは明治時代に日本に伝わりました。
インドからではなくイギリス経由でやってきました。
日本がイギリスから軍隊を学ぶときに一緒にカレーが軍隊食に採用されました。
一食でバランスよく兵士に栄養を与えることができるからです。
しかし日本の軍人の中にはカレーの採用に対する反対意見もありました。
香りが強すぎて敵に軍隊の所在地が知られてしまうと。
もちろん最前線でカレーを調理することはありません。
主に国内の基地や海軍学校のメニューとして定着しました。
かつて軍港のあった横須賀では今でも海軍カレーとして親しまれています。
戦後になって兵役を解かれた元兵士が各地にカレーのおいしさを伝えました。
そして日本各地にカレーが伝わりました。
いわばカレーは平和の象徴です。
戦争がなく日々カレーを味わうことができる平和に感謝しなければなりません。
戦後から昭和30年代頃までは一般的にライスカレーと呼ばれていました。
現代ではカレーライスという呼び名が主流です。
両者は違うものだという説もあります。
ライスにあらかじめカレーをかけて出されるのがライスカレー、
ライスとカレーが別になって出されるのがカレーライスという説です。
私はライスカレーを命名した人の意図が少し分かるような気がします。
西欧風におしゃれにしたかったのではないでしょうか。
フランス料理で「フォアグラ・トリュフソース添え」というように
料理を修飾する形容詞が名詞の後ろにつくと西欧風に感じます。
これはフランス語やイタリア語などのラテン語系の言語の一つの特徴です。
そのおしゃれな語感を取り入れたのではないでしょうか。
たとえばペペロンチーニ・スパゲッティというよりは
スパゲッティ・ペペロンチーニの方がイタリア風に感じます。
同じようにライスカレーという呼称には洗練されたセンスがあります。
しかし日本語の語順はラテン語とは違います。
ひじきご飯とはいいますが、ご飯ひじきとはいいません。
握り飯とはいいますが、飯握りとはいいません。
ライスカレーも日本語的に改称されてカラーライスになったのではないでしょうか。
もちろんそれはそれで悪くはありません。
ライスカレーもカレーライスも万人に愛されている料理です。