おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

ホルモンは放るもん?

ガッツとは英語のgutから来ています。

根性、勇気、決断力という意味です。

 

gutは胃や腸のことも意味します。

モツ料理のガツもgutが語源です。

 

ガツとはブタの胃袋のことです。

低脂肪で食べやすく独特の食感が人気です。

 

モツ料理のモツとは臓物のことです。

ガツに限らず英語から名づけられたモツがいくつかあります。

タンはtongue、レバはliver、ハツはheartのことです。

 

モツ焼きのことをホルモン焼きともいいます。

昭和の初期から呼ばれるようになったといわれています。

 

大阪弁で「捨てるもの」を「放るもん」というそうですが、

それが「ホルモン」になったという俗説があります。

 

たしかに日本の食肉の歴史はそれほど長くありません。

モツ料理が他の国に比べて多様でないことは事実です。

しかしモツが「捨てるもの」だったということはないと思います。

 

名前はともかく料理はおいしいことが重要です。

 

そういえば重要なことも英語でgutといいます。

日本語では肝心といいます。

 

肝心とは肝臓と心臓です。発想は英語と同じですね。

肝心は肝腎と書くこともあります。肝臓と腎臓です。

 

テニスのラケットに張るガットも同じgutです。

昔は動物の腸を使っていました。

 

楽器の弦や釣り糸や外科手術の縫糸にも使われてきました。

gutは大活躍です。

 

とても「放るもん」ではありません。