禅宗で食べることが禁じられている野菜があります。
五辛(ごしん)といいます。
ニラ、ネギ、ニンニク、ラッキョウ、ショウガの五つです。
ラッキョウやショウガの代わりにノビルやパクチーなどが入ることもあります。
一般には食べると元気が出る滋養強壮のありがたい野菜ですが、
禅宗では五辛を食べると興奮して修行の妨げになってしまうそうです。
心安らかに修行を積むには刺激の強い食材を避けなければなりません。
そのために五辛を定めています。
禅宗では五辛だけでなく食肉も禁じています。
殺生してはならないという仏教の戒律によるものです。
そのため動物由来の食材を使わない精進料理が発達しました。
野菜だけでなく、豆腐、湯葉、麩、葛、寒天、蒟蒻などが使われます。
「がんもどき」は雁の肉を豆腐で再現した「雁擬き」のことです。
ただし鴨肉や鶏肉のつくねのことも丸(がん)といいます。
ですから「丸擬き」が語源ではないかという説もあります。
関西では飛龍頭(ひりょうず)と呼ばれます。
飛翔する龍の頭をイメージして名づけられたそうですが、
揚げ菓子を意味するポルトガル語だともいわれています。
がんもどきは、水切りした豆腐をつぶして山芋をすりおろします。
そこにゴボウ、ニンジン、レンコン、ギンナン、コンブなどを入れます。
よく混ぜたものを丸く握って油で揚げます。
肉食が禁じられていても十分満足できるおいしさです。