おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

納豆はなぜワラに包まれているのか

昔の納豆は藁苞(わらづと)に包まれていました。

それはなぜでしょうか。

 

持ち運びに便利だから?

たしかにそれも理由の一つです。

納豆のようなネバネバした食品を包むにはワラが適しています。

 

しかしもっと根本的な理由があります。

それはワラの中に納豆菌が棲んでいるからです。

 

茹でた大豆をワラに包んで一日ほど保温しておきます。

ワラの中の納豆菌が繁殖して大豆が納豆に変わります。

そのため昔の納豆は藁苞に包まれていました。

 

ワラの中には納豆菌の他にも雑菌が棲んでいます。

そこで大豆を包む前にワラを熱湯で煮沸殺菌します。

 

納豆菌は耐熱性があり煮沸しても死滅しません。

おかげでおいしい納豆ができます。

 

納豆と豆腐の名称について面白い説があります。

昔は納豆のことを豆腐と呼び、豆腐のことを納豆と呼んだという説です。

なぜか名前が入れ替わってしまったそうです。

 

たしかに豆が腐って納豆になり、型に豆を納めて豆腐になります。

理に適った説のように思われますが、真実ではないようです。

 

豆腐は中国から日本に伝わりましたが、納豆は日本独自の食品です。

名前が入れ替わったわけではありません。

 

ではなぜ納豆というのでしょうか。

寺院の納所(なっしょ)で作られたからといわれていますが、

本当の由来はわかっていません。