その昔フランスの王様が狩りに出かけて空腹になりました。
何でもいいから早く食べられる料理を持ってくるように命じました。
するとオムレツが出てきました。
王様は「ケル・オム・レスト(何て早い男だ!)」と料理人を褒めました。
それが「オムレツ」となりました。
オムレツは最も単純な料理ですが、最も難しい料理とされています。
ふんわりと美しく焼き上げるには熟練が要ります。
それだけに料理人の腕前が試される料理です。
一流の料理人はオムレツ専用のフライパンを持っているそうです。
オムレツをアレンジした料理に「オムライス」があります。
ケチャップで炒めたご飯をオムレツで包んだ料理です。
オムライスは日本で考案されました。
ですからオムライスという名前も日本語です。
いつどこで誰がオムライスを生み出したのか諸説がありますが、
大正時代には今のオムライスの姿になっていたようです。
フランスのことわざに「卵を割らずにオムレツはできない」というのがあります。
物事を成し遂げるためには、まずやるべきことから始めるといった意味でしょうか。
「卵を盗む者は牛も盗む」ということわざもあります。
「うそつきはどろぼうの始まり」に近い意味だと思います。
昔の話ですが、パリのカフェでオムレツを注文したら目玉焼きが出てきました。
フランス語のオムレツは玉子料理の総称なのでしょうか。
それとも私のフランス語が通じなかっただけでしょうか。
未だによくわかりません。
数ある料理の中で、おそらく最も不気味な名前の一つが「目玉焼き」です。
何か他にもっと食欲が湧くような呼び方はないものでしょうか。
たとえば「月見焼き」とか「サンライズエッグ」とか。
目玉焼きというと日本では片面だけ焼くことが一般的です。
完全に火を通したいときは両面を焼くこともあります。
片面焼きを「サニーサイドアップ」といいます。
両面焼きを「ターンオーバー」といいます。
どちらもおいしそうに聞こえます。