羊の肉はマトン、子羊の肉はラムといいます。
その違いは何でしょうか。
生後12か月頃に門歯が生えると子羊から羊に変わります。
つまりラムからマトンに変わる時期です。
ラムに比べるとマトンには独特の羊肉の臭いがあります。
乳を飲んで育つ間はほとんど肉に臭みがありませんが、
草を食べるようになると消化酵素が生れます。
それがマトンの臭いの原因だそうです。
ラムとマトンでは料理方法が異なります。
日本でよく知られているラム料理といえばラムチョップです。
日本でよく知られているマトン料理といえばジンギスカンです。
ジンギスカン鍋は鉄兜を模したものです。
マトンの余分な脂がほどよく落ちるような形をしています。
ジンギスカンは名はモンゴル帝国の皇帝チンギスカンに由来します。
実際にチンギスカンがジンギスカンを食べたかどうかは不明です。
牛と子牛も同じように区別します。
英語では牛肉をビーフ、子牛肉をヴィールといいます。
しかし豚と子豚はほとんど区別しません。
英語で豚はピッグ、子豚をピグレットといいますが、
豚肉になるとどちらもポークです。
牛肉の肉質は変わっても豚肉の肉質はあまり変わらないのでしょうか。
日本料理では魚を成長期で区別することがあります。
成長するにつれて名前が変わる魚を「出世魚」といいます。
ブリが代表的な出世魚です。
主に関西ではワカナ、ツバス、ハマチ、ブリと変わります。
主に関東ではワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと変わります。
それぞれの地域によってだいぶ呼称が異なります。
ブリほど多くに名を持つ魚はないといわれています。
ただし最後がブリになるのは全国共通のようです。
ブリは名前が変わるだけでなく料理方法も変わります。
成長するにつれて脂が乗ってくるからです。
脂があまり強くないうちは刺身や塩焼きでさっぱりといただきます。
脂が乗ってきたら照り焼きやブリ大根がおいしいです。
食材の名は食文化も表すものです。