おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

2022-01-01から1年間の記事一覧

フキ料理の美しさ

フキノトウが成長するとフキになります。 今が旬の野菜です。 もともと全国に自生する山菜でしたが、 現在は野菜として栽培されています。 自生種を「野ブキ」「山ブキ」ともいいます。 フキはアクが強く、繊維が多いのが特徴です。 料理する前に下処理しな…

タケノコご飯の美味しさ

四季を通して、私は炊き込みご飯をよく作りますが、 今の季節は、やはりタケノコご飯です。 乳白色のタケノコと醤油に薄く染まったご飯に、 色鮮やかな緑の木の芽が映えます。 そしてタケノコの深い風味と心地よい歯応えと ふくよかなご飯の味わいが調和しま…

タケノコ掘りにはなぜ地下足袋が役に立つのか

タケノコ掘りは楽しいイベントです。 潮干狩りや山菜採りに並ぶ春の楽しみです。 しかし、なかなかの重労働です。 スキやクワやスコップなどの重装備が必要です。 中でも、地下足袋は欠かせません。 なぜでしょうか。 タケノコは成長が早い植物です。 一日に…

タケノコはなぜ米糠で茹でるのか

タケノコは鮮度が命です。 鍋を火にかけてから掘れと言われるほどです。 採れ立てのタケノコは生でも食べられますが、 時間が経つにつれてえぐ味が出てきます。 料理の前に下茹でしなければなりません。 タケノコの皮に切り込みを入れて皮ごと茹でます。 一…

孟宗竹の孟宗とは何か

タケノコの季節になりました。 若竹煮、木の芽和え、土佐煮、タケノコご飯など 季節のタケノコ料理が楽しみです。 タケノコは成長が早い植物です。 一日に数十センチメートルも伸びることもあります。 タケノコを漢字で書くと「筍」です。 「竹かんむり」に…

雷が鳴るとシイタケが生えるのは本当か

シイタケの人工栽培が始まったのは江戸時代です。 豊後の国が起源と伝えられています。 それまでは天然のシイタケを収穫していました。 自然に生えてくるのを待つしかありませんでした。 昔の人は、いつどこにシイタケが生えるか知るために、 何とか情報を得…

シエスタという生活スタイル

「シエスタ」はスペイン語です。 日本語では昼寝と訳されます。 しかし、必ずしも昼寝することばかりではありません。 ゆったりと午後の休憩を取ることを意味します。 スペインだけでなく、南欧に古くから伝わる習慣です。 イタリアやギリシャなどにも残って…

分かち合う喜び

若い頃にイタリアを旅行したことがあります。 バスに揺られて田舎の街をめぐりました。 イタリアの旅を楽しむコツは、焦らないことです。 バスも電車も時間通りに動くことはありません。 どんなに遅れても気にしない心構えが大切です。 それでも驚くことがい…

孤食の寂しさ

「孤食」という言葉があります。 家族がばらばらに食事を取ることです。 一人暮らしであれば仕方のないことですが、 家族が一緒に食事できないことは寂しいことです。 食卓はお腹を満たすだけの場ではありません。 心を満たす大切な場でもあります。 仕事や…

食育の大切さ

子どもの頃、ご飯を残さず食べるように教わりました。 たった一粒のご飯を作るのに一年かかる。 だから大切に食べなさいと。 そこで私は考えました。 たった一粒のご飯を作るのに一年かかるならば、 茶碗一杯のご飯は何年かかるのだろうと。 しかし、一粒で…

味噌作りの楽しさ

昔は各家庭で味噌を作っていました。 いわゆる自家製味噌です。 それぞれの家庭に自慢の味噌がありました。 「手前味噌」という表現があるほどです。 味噌作りは二日がかりの大仕事です。 家族総出で手伝います。 「寒仕込み」という言葉がありますが、 一年…

スローフードはなぜスローなのか

スローフードはファーストフードに対する言葉です。 1986年にイタリアの小さな町で始まりました。 消えゆく伝統的な郷土の食文化を守る運動です。 良質の料理法や美味しさを次の世代に伝えていくために 食材の生産や食品の製造を保護しています。 スローフー…

ホタルイカはなぜ光るのか

春はホタルイカの季節です。 刺身でも茹で上げても美味しい食材です。 富山県のホタルイカが、たいへんよく知られていますが、 じつは、兵庫県の日本海側で多く水揚げされています。 傷みやすいので、昔は地元でのみ消費されていましたが、 流通技術の向上に…

イイダコのイイとは何か

イイダコは春になると旬を迎えるタコです。 産卵を控え、お腹にたくさんの卵を持ちます。 タコの仲間では一番小さい種類です。 醤油と日本酒でさっと煮るのが美味しいです。 茹でて、ショウガ醤油が食べても美味しいです。 春にしか味わえない美味しさです。…

桜鯛とはどんな鯛か

春になると真鯛は産卵のために沿岸にやってきます。 ちょうど桜の花が咲く季節です。 これを「桜鯛」といいます。桜の季節の真鯛のことです。 真鯛に限らず、魚は産卵が近づくと身が肥えて脂が乗ってきます。 桜鯛は、真鯛の中で最も美味しいと言われていま…

桜海老はなぜ桜色なのか

桜海老漁が解禁になりました。 桜の季節は、桜海老の季節でもあります。 桜の花が咲く頃に、桜海老は旬を迎えます。 桜海老は主に静岡県の駿河湾で獲れます。 清水市の由比漁港の名産です。 釜揚げした桜海老や、天日に干した桜海老ばかりでなく、 生の桜海…

麦秋とはいつの季節か

小麦には、春小麦と冬小麦があります。 小麦の種類が違うわけではありません。 同じ小麦でも蒔く季節が違うのです。 多くの小麦は冬を迎える前に蒔きます。 これを冬小麦といいます。 冬小麦の大敵は霜です。せっかく蒔いた麦が、 霜柱で地表に押し上げられ…

ほうとうの美味しさ

ほうとうは山梨県を中心とした地域の郷土料理です。 小麦粉を練って麺を作り、味噌味で煮込みます。 ほうとうの麺は、うどんよりも太く平たく短く切ります。 うどんのように生地を寝かせることはありません。 下茹でをせずに、生麺のまま大鍋で煮込みます。 …

シラウオとシロウオの違いは何か

魚の名前にはいくつか紛らわしいものがあります。 「サワラ」と「ワラサ」、「カジキ」と「カジカ」がそうです。 「シラウオ」と「シロウオ」も紛らわしい名前です。 しかし、まったく種類の異なる魚です。 シラウオはシラウオ科の魚です。 まあ、当たり前で…

シラスは何の稚魚か

以前、メザシのことについて書いたときに述べましたが、 メザシという名前の魚はいません。 イワシを干したものをメザシと呼んでいます。 目のところに竹串を通して連ねるので「目刺し」です。 同じように、シラスという名前の魚はいません。 シラスはイワシ…

干し芋の優しさ

干し芋は、蒸したサツマイモの皮を剥き、薄く切って干したものです。 サツマイモの自然な甘みを味わうことができる食品です。 発祥は静岡県といわれていますが、国内生産の約9割は茨城県です。 土壌や気候などの自然条件が干し芋の生産に適しているそうです…

菱餅はなぜ菱形なのか

ひな祭りには菱餅をお供えします。 菱餅は、桃、白、緑の三色を重ねます。 三色それぞれに由来と歴史があります。 もともとは緑一色だけの餅だったそうです。 春の七草の一つゴギョウを使っていました。 ゴギョウは、別名「母子草」といいます。 ですから、…

白酒と甘酒は何が違うのか

白酒はひな祭りのお祝いに振る舞われるお酒です。 製法が確立したのは江戸時代といわれています。 みりんや焼酎に、蒸したもち米と米こうじを仕込みます。 一か月ほど熟成させた「もろみ」を搾って作ります。 数パーセントのアルコールを含んでいますので、 …

スイートポテトは日本だけの洋菓子か

スイートポテトは日本発祥の洋菓子です。 海外ではほとんど知られていないそうです。 英語でスイートポテトというとサツマイモを指します。 洋菓子を意味することはありません。 ですからスイートポテトは日本語です。 洋風ではありますが、意外と古い歴史が…

大学芋の大学とは何か

大学芋は、乱切りにした一口大のサツマイモを油で揚げて 蜜をからめて黒ゴマを振った料理です。 料理というより、おやつと言った方が正しいかもしれません。 昔から万人に愛されているおやつです。 ところで、どうして大学芋という名前がついたのでしょうか…

石焼き芋はなぜ石で焼くのか

サツマイモの調理方法はさまざまです。 子どもの頃はよく蒸かし芋を作ってもらいました。 湯気が立つほかほかの蒸かし芋ももちろん美味しいのですが、 最も理想的なサツマイモの調理方法は、何と言っても石焼き芋です。 加熱した砂利石の中に埋めて、じっく…

冬の風物石焼き芋屋さんは冬以外何の仕事をしているのか

大きな専用の釜をリヤカーに積んだ石焼き芋屋さんは冬の風物詩です。 「いしやーきいもー」の美声を聴くと、思わず買い求めたくなります。 近年はこうした石焼き芋屋さんをあまり見かけなくなりましたが、 いつ頃から移動式の販売が始まったのでしょうか。 …

身欠きニシンはなぜ米のとぎ汁で戻すのか

古くから伝わる調理方法には必ず理由があります。 たとえば、竹の子を茹でるときは米糠と鷹の爪を使います。 山菜のアク抜きにはミョウバンを使うと美味しくできます。 ナスの糠漬けに鉄釘を入れておくと色よく仕上がります。 なぜそのように調理するとよい…

ニシンはなぜ漢字で「鯡」と書くのか

ニシンを表す漢字は二種類あります。「鰊」と「鯡」です。 「鰊」という漢字は、東国で獲れる魚を意味します。 東国とは現在の北海道や東北地方を指していました。 それは、まあ納得できる漢字だと思います。 では、「鯡」と書くのはなぜでしょうか 今でこそ…

ニシンはなぜニシンというのか

ニシンは北海道から東北地方にかけて獲れる魚です。 昔は、「カド」「カドイワシ」と呼んでいたようです。 マイワシに似た姿をしていますが、マイワシよりやや大型です。 口元とお腹の部分が角張っているのが特徴です。 それが、「カド」「カドイワシ」の語…