おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしいことばを探してみましょう。

イタリア料理はなぜ日本で愛されるのか

 

イタリア料理は、日本で高い人気がありますが、

その理由は何でしょうか。

 

それは、日本料理とイタリア料理に多くの共通点が

あるからではないでしょうか。

 

日本もイタリアも長い食文化の歴史を持っています。

そして独自の料理を生み出してきました。

 

イタリア半島は地中海に囲まれて、日本と同じように

豊かな海産物に恵まれています。

 

素材の持ち味を活かし、手を加え過ぎない料理方法は

日本料理とよく似ています。

 

また、南北に長く伸びた国土も日本と同じです。

北から南までさまざまな気候と風土があます。

 

地域に伝承されてきた郷土料理が古くから愛され、

大切に守られている食文化も共通しています。

 

じつは、イタリアが統一国家として成立したのは、

比較的新しく、19世紀になってからのことです。

 

ちょうど日本が明治維新を迎えようとしていた

時代と重なります。

 

それ以前は「トスカーナ大公国」「サルデーニャ王国

パルマ公国」などの独立国家が乱立していました。

 

その名残で、郷土愛がたいへん強いのかもしれません。

もっとも、そうした事情は日本も変わりません。

 

日本も明治時代になって、ようやく中央集権国家が

樹立しています。

 

また、麺好きなところも日本とイタリアは似ています。

日本にもイタリアにも多くの麺類があります。

 

日本には、「そば」「うどん」「そうめん」「きしめん

「ひやむぎ」「ほうとう」などがあります。

 

イタリアも負けていません。負けていないどころか、

はるかに日本を凌いでいます。

 

パスタの種類には、長いのも短いのも、太いのも細いのも

耳の形もチョウチョの形も貝殻の形もあります。

 

パスタの種類の多様さにかけては、イタリアが世界一で

あることは間違いありません。

 

単に種類が多いだけでなく、パスタを美味しく料理する

技術にも長けています。

 

多彩なパスタ料理の中で、イタリア人が最も好むのは、

手の込んだ豪勢なパスタではありません。

 

意外にも、トマトソースだけ、あるいはバジリコだけの

簡素なパスタを好みます。

 

じつは日本人もそうです。贅を尽くした豪勢な麺よりも

「もりそば」や「すうどん」を好みます。

 

簡素な麺をこよなく愛する点では、日本人もイタリア人も

通じるところがあります。

 

料理の趣向に多くの共通点を見つけることができますが、

それが、イタリア料理が日本で愛される理由の一つです。

 

祝!イタリア料理がユネスコ無形文化遺産に

 

去年12月、イタリア料理がユネスコ無形文化遺産

登録されました。

 

これまで「ナポリのピッツァ職人の技」が登録された

事例があります。

 

また、「イタリアのトリュフ探索と採取」が登録された

事例もあります。

 

特定の食文化が選ばれることは珍しくありませんが、

今回はイタリア料理全体です。

 

一つの国の料理全体が無形文化遺産になるのは、

世界でも初めてのことだそうです。

 

料理の伝統を文化的、社会的に融合させていると

いうのが登録決定の理由です。

 

調理法が世代を超えて受け継がれている点なども

ユネスコに高く評価されました。

 

イタリア料理は単に美味しいだけでなく、食べる人を

幸せにしてくれる貴重な食文化なのです。

 

ところで、世界にはいわゆる三大料理というものがあり、

フランス料理、中国料理、トルコ料理を指します。

 

その三大料理よりも先にイタリア料理が無形文化遺産

選ばれたのはなぜでしょうか。

 

じつは、イタリアでは政府が中心となって国を挙げて

ユネスコに登録を働きかけました。

 

その背景には、美味しいものを分かち合いたいと願う

イタリア人気質があるのではないかと私は思います。

 

私は若い頃にイタリアを旅行したことがあります。

バスに揺られて田舎の村をめぐりました。

 

イタリアの旅を楽しむコツは、焦らないことです。

バスも電車も時間通りに動くことはありません。

 

どんなに遅れても気にしない心構えが大切です。

それでも驚かされることがいくつもあります。

 

日本では考えられないことが起こるのです。

私が乗っていたバスもそうでした。

 

遠くからおじいさんがバスに手を振っていると、

急にバスが路線から外れてそこに向かいます。

 

そして、バス停でもないのにおじいさんを乗せます。

まるでそうするのが当然であるかのように。

 

バスの乗客たちも、誰ひとり文句を言いません。

それどころか、顔見知りらしく挨拶を交わします。

 

やあ、おじいちゃん、元気そうだね、とか何とか。

もちろんイタリア語で。

 

乗ってきたおじいさんはワインを取り出して栓を抜き、

コップに注いで飲み始めます。

 

一杯飲み終わると、今度は周りの乗客にも勧めます。

次々とワインの回し飲みが始まります。

 

すると、他の乗客がチーズを取り出して切り分けます。

バスの中が突如としてバールに早変わりです。

 

皆とても楽しそうに飲んで食べて話しています。

啞然としている私にも声がかかります。

 

そこのお若いの、おまえさんもどうだい、とか何とか。

もちろんイタリア語で。

 

驚いたことに、バスの運転手にもワインを勧めます。

さすがに苦笑して断わっていましたが。

 

美味しいものを皆で分かち合うのがイタリア流です。

分かち合う喜びをよく知っている人々です。

 

その気質のおかげで、イタリア料理が無形文化遺産

登録されたのではないでしょか。

 

イタリア料理が世界中の人々に愛され続けることを

きっとイタリア人は心から願っているはずです。

 

ワインにまつわるイタリアのことわざ

 

イタリアは世界有数のワイン好きの国ですから、

ワインにまつわることわざがたくさんあります。

 

ことわざの中にはワインを称賛するものが多く、

ワインを深く愛していることがわかります。

 

たとえば、「よいワインはよい血をつくる」という

ことわざはよく知られています。

 

ワインは健康の元という意味ですが、ワイン好きの

言い訳にもしばしば使われることがあります。

 

日本にも「酒は百薬の長」という言葉があり、

それに近いことわざだと思います。

 

「よいワインは老人の杖」というのもあります。

ワインは長寿の秘訣であり、老後の楽しみです。

 

「真実はワインの中にある」に似ているのが、

「ワインを飲むと本性が現れる」です。

 

「ワインは人を歌わせる」ということわざも、

本性が現れる一つの例かもしれません。

 

「美味いかどうかを店主に訊くな」というのは、

分かり切ったことを訊くなという意味です。

 

居酒屋の主人に店のワインが美味いかどうか

尋ねるのは野暮というものです。

 

「ブドウがなければワインはできない。」

何かを得るには相応の準備が必要です。

 

じつは、これは私が作ったことわざです。

もともとはワインではなくパンです。

 

「小麦粉がなければパンはできない。」

これが本家のイタリアのことわざです。

 

「満杯のワインの樽と酒好きの女房を同時に

持つことはできない。」

 

相反する二つのものを同時に手に入れることは

できないという意味です。

 

「樽から抜いたワインは飲まねばならない。」

イタリアではなく、フランスのことわざです。

 

物事を最後まで成し遂げろという意味ですが、

「乗り掛かった舟」の意味でも使います。

 

これと同じことわざがイタリアにない理由は、

言わなくても飲むからではないでしょうか。

 

イタリア人が、樽から抜いたワインを放っておく

わけがありません。飲むに決まっています。

 

「飲まねばならない」ということわざが要らないほど

ワインを心から愛している国民なのです。

 

ワインに音楽を聴かせると美味しくなるのはなぜか

 

私たち人間は音楽を聴くと、楽しい気分になったり

心が安らいだり元気になったりします。

 

人間以外の動物たちや植物はどうなのでしょうか。

音楽に影響を受けることがあるのでしょうか。

 

ホニュウ類や鳥類には、音楽に関心を示す種や

楽曲を聞き分ける種もあるそうです。

 

面白いことに、人間と同じように個体差があり、

音楽の好みにも違いがあるといいます。

 

ペットに音楽を聴かせる実験も行われていますが、

犬が反応する一方、猫は無関心だそうです。

 

しかし、ハチュウ類や魚類や無セキツイ動物に対する

研究はあまり進んでいません。

 

ヘビがヘビーメタルを好むのか、カブトムシが

ビートルズを好むのかわかっていません。

 

動物より植物に対する研究が多く行われているので、

植物が音楽に影響を受けることがわかっています。

 

もちろん植物には耳がありませんが、音楽の振動を

感じ取ることはできます。

 

音楽の振動は、植物の細胞に微小な刺激を与えます。

それが、植物の健康的な成長を促します。

 

実験的に農作物に音楽を聴かせて収穫高を上げる試みも

すでに始まっています。

 

ただし、振動ならば何でもよいわけではありません。

騒音や雑音では却って逆効果になってしまいます。

 

やはり、調和のとれた旋律とリズムが不可欠であり、

そういう意味ではクラシック音楽が最適です。

 

どうも植物は、ロックやポップのような音楽よりも

落ち着きのあるクラシック音楽を好むようです。

 

じつは動物や植物だけでなく、微生物も音楽に影響を

受けることがわかっています。

 

たとえば酵母菌に音楽を聴かせると、発酵の働きが

より活性化します。

 

その性質を利用して、発酵中のワインの樽に音楽を

聴かせているワイナリーが各地にあります。

 

ワインの熟成が穏やかに進み、豊かな香りと

深い味わいが生まれると言われています。

 

聴かせる音楽は、クラシックが多いのですが、

とくにモーツァルトが適しているそうです。

 

モーツァルトの音楽は、人の知能や認知機能にも

よい影響をもたらすという説があります。

 

これは「モーツァルト効果」と呼ばれる現象で、

30年ほど前から研究されています。

 

詳しい理由はわかりませんが、モーツァルトの楽曲には、

一定の旋律や一定の音階の繰り返しが多く見られます。

 

それが人の心に安らぎと満足感をもたらすのではないかと

考えられています。

 

もしかしたら、酵母菌も人に匹敵する高度な知性を持ち、

モーツァルトの音楽を鑑賞しているのかもしれません。

 

ドイツ軍からワインを守ったパリのレストラン

 

パリにある「トゥール・ダルジャン」は、1582年に創業した

フランス最古のレストランです。

 

1582年は日本の歴史でいうと「本能寺の変」があった年です。

いかに古いレストランなのかわかります。

 

トゥール・ダルジャン」は「トゥール・ド・アルジャン」を

つなげて発音したフランス語独特の呼称です。

 

フランス語で「銀の塔」を意味しますが、実際に銀の塔に

レストランがあるわけではありません。

 

創業当初のレストランの外壁に、銀色に輝く雲母が含まれて

いたことが命名の由来です。

 

トゥール・ダルジャンの名物は、何といっても鴨料理です。

料理された鴨に番号をつける慣わしが古くからあります。

 

来店客には「あなたの鴨は何番目です」と記されたカードが

料理に添えて贈られます。

 

2003年には、開店以来料理された鴨の数がついに

百万羽を突破しました。

 

その比類のない至高の鴨料理を求めて、多くの著名人が

トゥール・ダルジャンに足を運びました。

 

昭和天皇も、皇太子時代を含めて二度にわたって

来店されたことがあります。

 

陛下が召し上がった当時のメニューは、現在も記録が

残されています。

 

また、美食家として知られた北大路魯山人は1954年に

渡欧した際にトゥール・ダルジャンを訪れています。

 

しかし、鴨をカリカリに焼くトゥール・ダルジャン流の

料理方法を好まず、半生の鴨をテーブルに運ばせました。

 

そして、持参した粉ワサビを水で練って半生の鴨に添え、

播州竜野の薄口醤油で食べたと伝えられています。

 

そのような出来事は、トゥール・ダルジャン史上例のない

珍事だったのではないでしょうか。

 

トゥール・ダルジャンは名物の鴨料理もさることながら、

膨大なワインのコレクションでも知られています。

 

店の地下にある広大なカーヴ(ワイン貯蔵庫)には、

数十万本ものワインが所蔵されています。

 

その銘柄は15,000に上り、ワインのリストだけでも

400ページに及ぶといいます。

 

まるで博物館のようですが、実際に来店客が望めば、

食後にカーヴの見学ができるそうです。

 

地下に貯蔵庫を備える理由は、ワインの品質を

安定的に保つためです。

 

年間を通して温度と湿度が一定に保たれ、

光と振動が少ない理想的な環境です。

 

しかし、ワインの品質管理という目的の他にも、

盗難と略奪を防ぐ役目があります。

 

まさにトゥール・ダルジャンのカーヴは戦時中に

その役目を果たしました。

 

第二次世界大戦が勃発すると、ドイツ軍は諸国を

次々と占領してフランスに侵攻しました。

 

1940年についにパリが陥落してドイツ軍が入城し、

パリの市内全域を占拠します。

 

主要な建物はドイツ軍に接収されてしまいましたが、

トゥール・ダルジャンも例外ではありません。

 

ドイツ軍参謀本部に店を奪われ、貴重なワインの

コレクションが略奪の危機にさらされます。

 

ところが、あらかじめトゥール・ダルジャンでは、

ドイツ軍の接収に備えて秘策が講じられていました。

 

それは、カーヴの奥半分をセメントで固めてふさぎ、

貴重なワインのコレクションを隠すという秘策です。

 

カーヴの奥には希少なワインや高価なワインを隠し、

手前には奪われてもよいワインを置きました。

 

これにはドイツ軍もすっかりだまされてしまいました。

まさか奥にワインが隠されているとは夢にも思いません。

 

結局、パリが解放されて戦争が終結するまで、

奥のワインが見つかることはありませんでした。

 

トゥール・ダルジャンのカーヴは、ヒトラーから

ワインを守った英雄として語り継がれています。

 

もしカーヴを全部セメントでふさいでしまったら、

さすがにドイツ軍もおかしいと思うでしょう。

 

半分だけワインをドイツ軍に差し出したことが、

結果として大きな恩恵を生み出しました。

 

それは「天使の分け前」という発想ではないかと

私は考えます。

 

天使の分け前」とはワインを樽で熟成させるときに、

蒸発して少なくなる分量のことです。

 

長期間寝かせるとワインの量は減りますが、その分、

ワインの熟成度は格段に向上します。

 

ワインを美味しくしてくれた天使に対して、分け前を

与えるのは当然と昔のワイン職人は考えました。

 

トゥール・ダルジャンの場合、貴重なワインを守るために、

「ドイツ軍の分け前」を与えたのかもしれません。

 

沈没船から見つかったワインはなぜ品質がよいのか

 

1872年にフィリピン沖で沈没したマリーテレーズ号から

ワインが見つかったのは1991年のことです。

 

100年以上も海底に眠っていた約2.000本のワインは、

いずれも高級なヴィンテージでした。

 

ワインの品質は全く劣化することなく、むしろ熟成された

深い味わいがあることがわかりました。

 

引き上げられたワインはさっそくオークションにかけられ、

日本円にして1本数十万円の価格で落札されたそうです。

 

また、1916年にはスウェーデン沖でジョンコピンク号が

ドイツ軍の攻撃を受けて沈没しました。

 

船内に残っていた約3,000本のシャンパンが、1998年に

引き上げられましたが、これも素晴らしい品質でした。

 

水深64メートルの海底に沈んでいたので、かなり高い水圧が

かかっていましたが、却ってそれが幸運でした。

 

ワインと違ってシャンパンはボトル内部が高圧になっています。

水圧が高い方が保存に適していたと考えられます。

 

80年の時を経た沈没船のシャンパンはオークションにかけられ、

これまた1本数十万円で落札されました。

 

ワインは、通常「カーヴ」と呼ばれる地下の貯蔵庫に

静かに保存されます。

 

年間を通して、カーヴ内の温度と湿度が一定に保たれ、

光と振動が少ない環境はワインにとって理想的です。

 

まさに海底はその条件を満たしていると言えますが、

もちろん深ければよいというわけではありません。

 

タイタニック号のように3,000メートルを超える深海では

ワインのボトルは粉々になってしまいます。

 

沈没船は世界の海のいたるところで確認されていますが、

ワインが見つかるのは極わずかです。

 

仮にワインが見つかったとしても、飲める状態なのか、

引き上げるだけの価値があるのかわかりません。

 

そこで、敢えてワインを海底に沈めて熟成させるという

面白い計画があるそうです。

 

数十年後に引き上げて、どのような味になっているのか

飲んでみる壮大な試みです。

 

場合によっては、品質が劣化して飲めなくなるリスクも

ありますが、遊び心をくすぐるわくわく感があります。

 

何だか、小学生が卒業するときに作るタイムマシンに

よく似ています。

 

10年後の自分に手紙を書いて箱に詰め、校庭の隅に

埋めるあのタイムマシンです。

 

10年後にタイムマシンを掘り出して開けてみると、

小学生の頃の自分から手紙が届きます。

 

海底に沈めるワインにもそれに似た夢があります。

こうした企画は誰にとっても楽しいものです。

 

パッションフルーツのパッションとは何か

 

キウイフルーツ、ドラゴンフルーツ、スターフルーツなど、

名前にフルーツがつく果実がいくつかあります。

 

キウイフルーツは、ニュージーランドの国鳥である

キーウィに因んで名づけられました。

 

ドラゴンフルーツは、ドラゴンが噴き出す赤い炎に

似ているので名づけられました。

 

スターフルーツは、輪切りにしたときの切り口が

星型になることに由来して名づけられました。

 

ただし、トロピカルフルーツは違います。

特定の果実を指す名称ではありません。

 

パイナップル、バナナ、マンゴー、パパイヤなど、

熱帯地域で栽培される果実の総称です。

 

では、パッションフルーツの「パッション」とは

何でしょうか。

 

パッションは英語で情熱や愛情を意味するので、

「情熱的な果実」と思われることがあります。

 

たしかに、赤紫色の果皮は情熱的に見えますが、

「情熱的な果実」という意味ではありません。

 

パッションには、もう一つ別の意味があります。

それはキリスト教の「受難」という意味です。

 

では、「受難の果実」という意味なのかというと、

それも違います。

 

パッションフルーツはパッションフラワーの実ですが、

そのパッションフラワーが「受難の花」なのです。

 

パッションフラワーは中南米原産の蔓性多年草です。

白と薄紫色の印象的な花を持っています。

 

花も美しいのですが、薬草の効能が古くから知られ、

先住民たちは鎮痛剤として利用していました。

 

16世紀になると、ヨーロッパの宣教師たちが、

布教のためにアメリカ大陸に渡ってきます。

 

ヨーロッパで見たことのないパッションフラワーを

初めて見た宣教師たちは驚きました。

 

まるでキリストの受難を象徴しているかのように

思われたからです。

 

花の中心に長く伸びている三本のメシベが、

キリストの十字架に見えたのです。

 

別の説によると、キリストの手足を十字架に

打ちつけた三本の釘にも見えたといいます。

 

また花弁が、受難のときにキリストが頭に被った

「茨の冠」にも見えたといいます。

 

これは間違いなく、アッシジの聖フランチェスコ

夢の中で見たという「十字架の花」です。

 

宣教師たちはそう信じて、「受難の花」を意味する

「パッションフラワー」と名づけました。

 

ちなみに、パッションフラワーの日本語名は、

トケイソウ(時計草)」といいます。

 

パッションフラワーの長く伸びた三本のメシベが、

時計盤の長針と短針と秒針に見えるからです。

 

もちろん「時計草」をそのまま英語に翻訳して

「クロックフラワー」といっても通じません。

 

同じくパッションフルーツを「クロックフルーツ」と

いっても通じません。

 

あまり知られていませんが、パッションフルーツ

日本語名は、「クダモノトケイソウ」といいます。

 

何だか堅実な印象があり、パッションフルーツとは

全く異なる果実のように感じられます。

 

やはり果物の名前は美味しそうでなければいけません。

パッションフルーツは素敵な名前だと思います。