十三里とはサツマイモの異称です。
「栗より旨い十三里」は「栗よりもおいしいサツマイモ」という意味です。
寛政年間に江戸で生まれた言葉です。
「栗より」を「九里四里」に読み替えました。
九里と四里を足して十三里というわけです。
江戸っ子らしい洒落ですね。
じつは十三里よりも先に八里半という言葉が生まれています。
宝永年間のことです。
京都のある焼き芋屋さんが八里半の看板を掲げました。
九里より手前の八里半ということです。
栗ほどではありませんがおいしい焼き芋をお一ついかがですか。
そういう謙虚な気持ちが込められています。
京都の人らしい奥ゆかしさを感じます。
日本の食文化において栗はサツマイモの大先輩です。
縄文時代から食べられています。
古くから庶民的な食材だったことがわかります。
サツマイモが日本に伝わったのは江戸時代と考えられています。
イネと違って荒地でも育つたくましい作物です。
享保の大飢饉があったときには多くの犠牲者が出ましたが、
サツマイモを奨励していた藩では被害が最小限で済みました。
それ以降サツマイモは全国で栽培されるようになりました。
米が不作のたびに多くの人の命を救ってくれたありがたい作物です。
10月13日はサツマイモの日だそうです。
埼玉県の川越で制定されました。
川越は江戸の日本橋から街道沿いに十三里離れた城下町であり
サツマイモの名産地でもあったと伝えられています。
この日はサツマイモに感謝しておいしくいただきたいと思います。