ハモは大きな口と鋭い歯を持っています。
咬みつく力がたいへん強い魚です。
釣り人やダイバーに攻撃することもあるそうです。
そのため「咬む」や「食む」から名づけられたといわれています。
またハモの姿と獰猛な性格がマムシを連想させることから
マムシの古称である「ハミ」が語源であるという説もあります。
ウナギほど全国的に食べられている魚ではありませんが、
主に京阪地方で夏の食材として昔から愛されています。
とくに京都では祇園祭の頃に出回るハモが珍重されています。
祇園祭のことをハモ祭りとも呼ぶそうです。
「京都のハモは山で獲れる」という言葉がありますが、
もちろん内陸の京都ではハモは獲れません。
どうして京都でハモが食べられるようになったのでしょうか。
それはハモの生命力にあるといわれています。
ハモはとても生命力の強い魚です。
頭を切り落とされても料理人の手に咬みつくことがあるそうです。
明石海峡で獲れたハモが陸路を京都まで運ばれても
なお生きていくことも珍しくなかったようです。
そのためハモは精のつく魚として食べられるようになりました。
また京料理の洗練された高い技術もハモ料理には適しているようです。
ハモには多くの堅い小骨があります。
そのため「骨切り」という特殊な下ごしらえが必要です。
これはハモの身を開いた後に細かい切り込みを入れる作業です。
専用に包丁を使って数ミリ単位で切り込みを入れていきます。
かなり熟練した技術が要ります。
素人がやるとハモの身がばさばさになってしまいます。
きれいに骨切りしたハモをさっと湯引きして梅肉に和えます。
酢味噌で和えることもありますが、ハモは梅肉に限ります。
その美しさはまさに芸術品です。
もちろん見た目だけではありません。
ふくよかなハモの味わいをさっぱりした梅肉が引き立てます。
そのおいしさはまさに芸術品です。