おいしいことば

四季の料理と食材は美しい名を持っています。おいしい食べもののおいしいことばを探してみましょう。

梅干し

梅の季節です。

 

梅が実る季節に降る雨を梅雨といいます。

しとしと降る小雨を浴びて梅の実は美味しくなります。

 

私も毎年6月には梅干しを作ります。

梅干しには青梅よりも熟した梅の方が適しています。

 

実をきれいに洗って水気を切ってから塩に漬けます。

塩は粗塩を使います。

塩の量は梅の重さの18から20パーセントが目安です。

 

近年は減塩が主流なので塩の量を加減しても構いません。

ただし塩が少なすぎると常温で保存できません。

 

昔ながらの製法ではかなり塩分が多く塩辛いのですが、

冷暗所で何年でも保存できます。

むしろ長期熟成させた方が美味しくなります。

 

塩に漬けて重石を乗せると数日して梅酢が出てきます。

一週間ほどで全体が梅酢に浸るようになります。

 

梅干しには赤紫蘇がよく合います。

赤紫蘇は茎を取って葉をきれいに水洗いします。

一度塩揉みしてアクを抜き、さらに塩揉みして梅酢に漬けます。

梅酢が鮮やかな紅色に変わります。感動的な瞬間です。

赤紫蘇と梅を一緒に漬けると梅の実も赤く染まります。

 

梅雨が明けたらいよいよ梅を干します。

昔から「土用の三日干し」といわるように夏の土用の時期に三日三晩干します。

 

大きなザルに並べた梅に真夏の暑い陽射しが照りつけると

余分な水分が抜けて梅干しらしい食感が生まれます。

 

干した梅はすぐにも食べられますが、

数か月から一年おくといっそう風味がよくなります。